日経ヘルスビジネスカンファレンス2009 レビュー
会場写真
注目の美容・健康素材や健康ビジネスの地域連携など、今後の成長が期待される市場を展望し、最新トレンドを探る「日経ヘルスビジネスカンファレンス2009」。アンチエイジングが大きなテーマとして成長を遂げるなかで迎えた第3回目の今回も、健康市場の行方を指し示す研究や構想の報告が相次いだ。
基調講演 アンチエイジング、メタボリックシンドローム予防の新時代 
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授 門脇 孝氏 日本人の国民病ともいえる糖尿病は、老化を推進する病気としても注目されている。基調講演は、糖尿病やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・治療の最前線に立つ東京大学大学院教授の門脇孝氏。もともとアジア人にはインスリン分泌低下の素因があり、そこに欧米型の、エネルギー過剰な食習慣が加わることによって、内臓脂肪が蓄積され、インスリン抵抗性が引き起こされる──と、糖尿病増加の背景を指摘した。

 内臓脂肪がたまると、インスリンの働きを活性化する作用を持つ善玉のホルモンであるアディポネクチンが分泌されなくなり、肝臓や筋肉にも脂肪がたまり、代謝低下、動脈硬化、血管の老化を引き起こす。そのためアディポネクチンの量をいかに増やし、また活性化させるかが、今後のメタボ対応、糖尿病予防を進めるうえで重要になってくるという。

会場入口 門脇氏は、アディポネクチンが糖代謝を制御する作用の鍵を握る物質の存在や、その作用機序について、最新の知見を交えながら解説。それらの量を増やしたり、活性を上げたりする創薬や機能性食品の開発が求められているとし、その一例として植物由来のペプチドの一種であるオスモチンを紹介した。さらに門脇氏は、アディポネクチンの減少が引き金を引くインスリン抵抗性の原因の一つとして、全身で起こる炎症があり、さらにその上流には免疫系の異常があることを示唆。今後は、これらの知見をもとにした研究・開発を行う予定。またカロリー制限模倣(もほう)薬、運動模倣薬、さらに体重減少模倣薬といった新たなストラテジーを駆使しながら、一方で、遺伝子情報に基づき、患者個々に合った予防・治療法の開発が期待されると語った。
特別講演 これからのドラッグストアと健康市場のゆくえ
日本チェーンドラッグストア協会 事務総長 宗像 守氏 続いて登壇した日本チェーンドラッグストア協会の宗像守事務総長の特別講演は、2009年6月に完全施行された改正薬事法についての解説からスタート。 新たな薬事法の枠組みのなかで、ドラッグストアの役割がどのように変化していくか、また健康市場にドラッグストアがどうかかわっていくかなどを語った。

 約半世紀ぶりに改正された薬事法の狙いは、セルフメディケーションを推進するための基盤づくりにあると宗像氏は強調。今後のセルフメディケーションの考え方として、生活習慣病や慢性疾患の予防、未病改善、代替医療などを含めて、消費者自身が自己参画していくことが基本であると説明した。

 医療費抑制の必要性が叫ばれるなか、セルフメディケーションの普及は、その切り札になる施策。 その実現のためには、生活習慣病薬などの開発を進めるとともに、今後は医薬品のみならず、食事や運動、あるいはサプリメントや健康食品などの利用を含めた生活全般について、個々の消費者に最適な、健康維持、病気予防、未病改善の方法をアドバイスすることが、薬剤師の役割になっていくだろうと述べた。
テーマ別分科会 「注目の美容・健康素材」「地域連携/健康ビジネス」
新潟県産業労働観光部 新産業企画監 河合 雅樹氏
アグロ・メディカル・イニシアティブ 事務局長 東京農工大学大学院 農学部農業環境工学専攻 澁澤 栄氏
 テーマ別分科会「注目の美容・健康素材」では、機能の豊富な抗酸化成分である「フラーレン」、腸内細菌叢(さいきんそう)に働きかける天然の成分「生菌酵母」、代謝機能を上げるサプリ成分「還元型コエンザイムQ10」、そして肝機能を改善する遊離アミノ酸「オルニチン」についての最新研究を紹介するセッションが続いた。セッション終了後には、すべての講演者が登壇し、藤井省吾日経ヘルス編集長をモデレーターとしたパネルディスカッションを実施。医薬品と併用しても安全であるという特長や、これらの素材が持つ優れた特長をいかにアピールするか、といったことについて語り合われた。

 一方、テーマ別分科会「地域連携/健康ビジネス」でも、「地域連携・健康ビジネス&アンチエイジング産業の可能性について」(テクノアソシエーツ ヴァイス・プレジデント・加藤芳男氏)、「北海道から世界へ加森観光が考える新しいリゾートのあり方」(加森観光・加森久丈氏)、健康長寿支援と低炭素社会実現支援を目指して新潟県が推進する「地域活性化としての健康ビジネス連峰政策」(新潟県産業労働観光部 新産業企画監・河合雅樹氏)、エビデンスに基づく農場管理の重要性について説明した「アグロメディカルフーズとこれからの日本農業」(東京農工大学大学院・澁澤栄氏)など、アンチエイジング市場の可能性や広がり、最新トレンドを踏まえた講演が続いた。

パネルディスカッション風景 講演終了後に行われた、西沢邦浩日経ヘルス プルミエ編集長をモデレーターとする、パネルディスカッションでも、既にスタートしている健康ビジネスの連携の今後の可能性、さらにそれらのビジネス展開の鍵を握る国際化などについて議論が交わされた。 そして、今後も活発な連携を行いながら、国際性を持った日本発の健康・医療ブランドを構築していくべきだという提案があった。
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